dpi Magazine

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スレッドとは縒り糸を構成している一本の糸のことです。最近では、ウェブ上の掲示板にテーマを儲けることを「スレッドを立てる」などと使われたりしておりますが、ここではスーツやその周辺の話題を一本の糸に見立てて毎回ご紹介させていただきます。一本、一本の糸が織りなされて、皆様の素敵なスタイルに少しでもお役に立つことを願いまして。

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見えないところ、目立たないところにこそ気をつかうのが本当のお洒落だと言います。たとえば裏地に凝るような、自分だけにわかるこだわりが、深い満足感を与えてくれ、それが自信となると言ったら言い過ぎでしょうか。その気分のありようが態度に現れ、その人の雰囲気が醸し出される。そんなプラスの効果もあるのではないかと思います。そこで、今回はジャケットの裏地について、その代表格「キュプラ」をメインにご紹介したいと思います。

スーツの裏地の役割。

裏地に凝るといえば、江戸っ子。そう、「粋」っていうやつですね。お上の厳しいお達し「奢侈(しゃし)禁止令」で贅沢が禁止されてもなお、お洒落をしたくて、地味で質素な羽織に見えても裏地は別物で、表地からは想像できない絹や派手な色合いの上物を贅沢に使ったといいます。さて皆さまのジャケットの裏地はいかがでしょうか。おそらくはキュプラかポリエステル、もしくはこの二つの混紡のはず。裏地は、実はさまざまな役割を持っていて、これらの生地が選ばれるのです。たとえば袖を通す時に腕をすべりやすくして着やすくすること(これを「すべり感」などと表現することも)。この着る脱ぐの動作や汗などで表地にダメージを与えないようにすること。型崩れを防ぐこと。他にも湿気の調整機能効果など、いろいろな役割を担う縁の下の力持ち的な存在なのです。

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キュプラとは?

高級スーツの裏地に使用されることが多いキュプラ。「Cuprammonium Rayon」=「銅アンモニアを使って作られたレーヨン」から名付けられており、スペルはCuproとなります。その原料はコットンリンタ(綿花の種の周りに生えているうぶ毛)と呼ばれる植物繊維です。コットンの原料としては使われないところを銅アンモニア溶液を使って再生させた再生繊維ということになります。もともと綿が原料なので自然の素材と言うこともできます。ちなみに100年ほど前にドイツのベンベルグ社が良質な繊維としてのキュプラを製造することに成功したのでベンベルグとも呼ばれ、その名称は現在、旭化成せんい(株)さんの商標登録になっています。

ワンランク上の着心地。

結論を申し上げますと、キュプラはジャケットの裏地として、かなりおすすめです。理由はいくつかございますが、まずはとても吸湿性が高い点が挙げられます。そのために布地が適度な湿度を持っており、静電気が起きにくいので肌にまとわりつくことがありません。放湿性も高く、ムレにくいのも特長です。その上、綿やポリエステル、ウールなどの生地との摩擦が少ないため袖通しもスムーズにできますから、体の動きの自由度を高めます。糸の断面が丸いのでしなやかな感触で肌触りも良く、とにかく着心地が良いんですね。まさに裏地に最適。スーツを仕立てる際に予算を少しプラスされることで、満足感がワンランク上がることまちがいございません。しかもdpiでは100%キュプラの生地にこだわり、多彩な色柄をご用意しております。キュプラの効能フルスロットルです。裏地はこれ見よがしに見せるものではありませんが、上着を脱いだとき、ちらりと見えたときに、質感の高さや上品さを何気なく漂わせることができるのではないでしょうか。いい裏地は、できるビジネスマンのモチベーションを上げるお洒落の一つと言えそうです。