dpi Magazine

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スレッドとは縒り糸を構成している一本の糸のことです。最近では、ウェブ上の掲示板にテーマを儲けることを「スレッドを立てる」などと使われたりしておりますが、ここではスーツやその周辺の話題を一本の糸に見立てて毎回ご紹介させていただきます。一本、一本の糸が織りなされて、皆様の素敵なスタイルに少しでもお役に立つことを願いまして。

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アフリカのコンゴ共和国に、ヨーロッパのハイブランドで着飾るカッコいい男たちがいるのをご存知でしょうか。給料の何ヵ月分もはたいてスーツなどのファッションアイテムに費やす、“サプール”と呼ばれる人たち。彼らは灼熱の太陽の中、スーツルックでクールに決めて街を歩き、多くの人に見てもらうことを楽しんでいます。ファッションで世界平和を願うとのことですが、自分の生き様を表現するためにというのが本音のようです。今回は、彼らに負けずに夏でもスーツを楽しんで着たい方におすすめのクールな服地のお話です。

生まれ故郷は「地の果て」

さて話題は、アフリカ大陸から南米大陸へ。南米の最南端に、マゼラン海峡に面し、スペイン語で「地の果て」を意味するプンタ・アレーナスがあります。大航海時代よりマゼラン海峡を通過する世界中の船の寄港地として繁栄してきたプンタ・アレーナス港から船積みされる羊毛こそが、“プンタウール”と呼ばれるものです。その港からマゼラン海峡を挟んだところにあるフエゴ島の広大な大地で産出されています。アンデス山脈から吹き下ろされる冷めたい風、南極から流れてくる凍てつくようなフンボルト海流、そして海峡を吹き抜ける強風。そんなフエゴ島の一年を通して厳しい自然環境の中で育つ羊から採られているのです。

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いいとこ取りのコリデール種から

そんな酷寒の地でメリノ種とリンカーン種の交配によって生み出されたコリデール種から産まれる“プンタウール”。メリノの毛は細く、リンカーンは太く長い。この両者の特徴を兼ね備え、柔軟性・弾力性に富んだ独特な風合いが魅力です。太番手の糸で仕上げるとザラッとして、冷涼な触感になります。ウールに対して、防寒性は高いけど夏には不向き、といったイメージを持たれていませんか。ウールにはクリンプと呼ばれる縮れがあり、空気をその繊維の中に60%ほど含んでいます。これが断熱性を高めるため、夏涼しく、冬は温かく感じさせてくれます。またその表面にはスケールと呼ばれる、髪の毛で言うところのキューティクルがあり、湿度が高いとこれが開き、内部に湿気を吸収してくれます。その吸湿力はコットンの2倍、ポリエステルの40倍とも言われています。蒸し暑い日本の夏でも、蒸れることなく快適に着られるのです。“プンタウール”は、少ししっかりした麻のような肌触りで、コシとハリのある質感。麻とはちがいシワになりにくく、光沢のある美しい艶感はモヘアのようです。和服の世界でも、着崩れしにくく清涼感のある夏の生地として人気があります。

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サラッと涼しいスーツを一着

クールビズが定着し、ビジネスシーンでもノージャケット、ノータイがあたりまえになりました。でも、そんな横並びのファッションには反旗を翻したい方に、人生のために着飾るサプールのように、暑さに負けることなくスーツを着用していただきたい。また社会的な立場や状況でスーツを着なければならないこともきっとあることでしょう。ということで今回の結論。今年の夏は、サラッとした清涼感をはじめ機能性もコストパフォースにも優れている“プンタウール”でスーツを一着。dpiはバリエーション豊富に服地とスタイルをご用意してお待ちしています。